常にトレンドをチェックしなければモテない、システム管理者も恋愛も

恋愛したいなと思っている時期、あるいは彼氏・彼女ができたての頃、今までよりおしゃれになっている自分に気づくことがありませんか? そりゃそうです。トレンドを常にチェックして、今どんな服が流行っているのか、どんなアクセサリーが人気なのか、と言ったことに敏感でなければ、モテるチャンスも少なくなるでしょう。「あ、そのジャケット、先週の○○誌に載ってたやつでしょ?」なんてところから会話が弾むこともあります。また、付き合うようになった相手が、いつもどこかしら最新流行のアイテムをとりいれたファッションをしていると、何となく自慢に思えるものです。

 

同じようなことが、システム管理者にも求められます。システム管理者がチェックすべきトレンド、それは「今、システムにとって脅威とされているウィルスにはどんなものがあるのか」、「最近、ネットニュースで騒がれているサイバー攻撃にはどんなものがあるのか」と言ったことです。
ハードのメンテナンスを完了させ、ソフトの最新アップデートを行ったら「はい、これでOK」ではないんです。それは単なる準備。やっていて当たり前のことです。システム管理者に求められる能力は、そこからです。「自分たちのシステムを攻撃してくる可能性のある、新たなウィルスは発生していないか?」、「先月、開発業者はファイアウォールの設定を変更し、これで安全だと言っていたが、変更後の設定を狙って来るような新たなサイバー攻撃方法が話題になっていないか?」、と言った事柄に、常に気を配っていなければいけないのです。

 

人によっては「ウィルスやサイバーテロへの対応なんて簡単だ」と言う方もいらっしゃるかも知れません。けれど、そういう自信家の人は大概、勘違いをしています。自宅の自分だけが使っているパソコンの管理の話をしているのではないんです。今、話しているのは、企業などの組織の中に設置されている何百何千という機器を管理する場合のこと。その機器には公衆回線をふくむネットワークも入っています。それら膨大なソフト、ハードを常に正常に稼働させておくために、脅威となる存在についてアンテナを張り続けなければならない、ということです。

 

「組織の中の機器」と言うのが厄介なんですね。と言うのも、すべての機器が最新のOS、ソフトウェアで統一されていれば、システム管理もやりやすいんですが、現実はそうは行きません。ある部署で業務に使っているソフトは2世代前のOSでなければ作動しないので、他の部署の機器よりOSが古いままだったり。すべてWindowsマシンで統一したかったけれど、ある外部業者とデータのやりとりをするためにどうしてもLinuxのマシンを設置しなければならない部署があったり。組織内のハード、ソフトの環境がバラバラであるのが現実です。
こうなると、「ウィルスが攻撃して来た!」と言う時などに、対応がとても困難です。1種類だけのワクチンを全ての機器に施して「ああ、終わった、やれやれ」とは行かないんです。先に言ったように、何らかの事情でOSが古い機器には、そのワクチンは適用されていないかも知れません。古いOSに適合したワクチンを調べて、別途、適用しなければならないのです。Windowsマシンの中にLinuxマシンが点在するような場合も同じです。それぞれのマシンに合った対策を施さなければなりません。

こういった、その組織に特有の複雑な環境が攻撃を受けた場合に、冷静に着実に対応できるか。ここにシステム管理者としての資質が問われます。「とりあえず、一番台数が多いOSのパッチを当てとけばいいや」と言うような粗雑なやり方はダメです。雑に当てたそのパッチが、適用対象外のOSが入ったマシンにどんな影響を与えるか分からないのですから。また、「本当にこれで良いのかな・・・でもこれしか公式サイトに載ってないしな・・・」といつまでもビクビクして対策を進めないのもダメです。緊急時には「ウィルスに侵される前にサーバーをシャットダウンするぞ」くらいの大胆さもなければ。ファッションでもそうですよね? 繊細さと大胆さをバランスよく取り入れないと。

 

自分が管理するシステムがウィルスなどの攻撃を受けた場合に、慌てずに落ち着いて対応するためにも、日頃からトレンドのチェックは欠かさないようにしましょう。