認めてあげよう 恋も仕事も

彼女があなたのためにちょっと凝った料理を作ってくれたとします。あなたは、その料理を前にどんな反応をしますか。料理以外のことでもいいんです。たとえば、部屋の模様替えをしてくれたとか。あなたのイメージチェンジをねらって今まで着たことがない服をプレゼントしてくれたとか。どうしてますか。そういう時。
つまらない恋人同士の戯れ事、と思われるかもしれません。けど、こういう場合にあなたがとる反応が、意外に大事なんです。今後の二人の関係を左右することもあるんです。
もし、彼女が一生懸命やってくれたことが、あなたの趣味に合わなかったとしても、ここは褒めてあげましょう。彼女がやってくれたことに感謝して、その努力を認めてあげましょう。すると、それからの彼女の態度が変わります。あなたが認めてくれたことで、よりあなたに親切に優しくなります。認められると人は意外なほど素直になれるんです。

 

システム管理者にも同じようなことが求められます。
仕事場でこんな風に思ったことはありませんか。「運用チーム(特に後輩)がすぐに指示に従ってくれない」、「ユーザー(お客様)がなかなかアドバイス通りに行動してくれない」。なぜでしょう?

 

彼らがあなたの言葉に従ってくれないと感じた時、それまでのことをよく思い返してみて下さい。あなたは、後輩の意見をよく聞きましたか? ユーザーの話している内容に注意深く耳を傾けていましたか? そして(ここが最も重要なところなのですが)、彼らの意見をすぐに否定するようなことをしませんでしたか?

 

日常、何気なくやっていることで、じつはこれが物凄く周囲に悪影響を与えていることがあります。つまり「他人の意見を最後までよく聞かずに否定してしまうこと」です。
たとえば、後輩がある作業についてあなたに意見を言っていて、それが少々知識不足から来る誤った意見だとします。そんな時に「ああ、それは間違ってるから」と彼が話している途中に否定してしまったこと、ありませんか?
また、ユーザーからあるソフトについての問い合わせがあった時、質問されている内容が他の人からもよく尋ねられることだからと、問い合わせをしている人の話を最後まで聞かずに「ああ、それでしたらこちらに解決方法が・・・」と片付けてしまったことがないでしょうか?

 

人は、たとえ喋っている内容が間違っていても、あるいはあなたにとっては「常識」と思われるようなことを質問していたとしても、最後まで聞いてもらえずに否定されたり、片付けられたりしてしまうと「なんだこの人は。私の話を聞いてくれないのか」と深くショックを受けるものです。そして、それ以降、あなたの言うことに対して懐疑的になり、「あの人は他人の話を聞かない人だから」とあなたの意見に耳をかさなくなります。そういうものです。

 

認めてあげることです。後輩もユーザーも。きちんと彼らの話を最後まで聞いた後、「その意見はよく考えられていると思う。だけど、じつはあのOSには以前からこういう問題があってね・・・」、「お客様が疑問に思われ、不便に感じられていることは私どもも同感です。しかしながら、こちらのソフトに関しましては既に対策済みのバージョンがございまして・・・」。
一言でいいんです。相手の意見を最後まで聞き、あなたの言うことは理解した、という意味のことを付け加え、それからあなたの意見を言うか否か。じつは、こんなちょっとした心遣いが、あなたに対する相手の態度を良くも悪くもするんです。

 

どんな意見でも、話でも、最後まで聞きましょう。自分の意見を言うのはそれからです。たったこれだけのことで、あなたの印象は随分変わるものです。