同僚には女性の生理を理解するような気配りを

女性と付き合うようになると、月に1回、何だか様子がおかしい時期があることに気づきます。大概の場合、それは「不機嫌である」という態度によって気づかされます。月に1回、何かと言うと怒りやすかったり、何を言っても話に乗って来なかったり。その原因は生理です。

女性と交際する経験を何回か重ねると、彼女の機嫌が悪かったりするとすぐに「あ、今日は生理なのか」と気づくようになります。けれど、若い頃はそういうことに関する知識が無かったり、自分のことばかり考えて「あの子の気持ちは分からないよ」となってしまいます。ただ、そこは彼女の身体と気持ちを理解してあげて、上手く付き合うようにするのがイイ男と言うもの。数日、彼女が不機嫌だからと言って、一々、癇癪を起こしていてはいつまでも良い恋愛は出来ません。

女性には特有の体質がある。それを理解し、いたわってあげる気配りが必要です。

 

システム管理者にも、持つべき資質として、同じような「気配り」が求められます。特に同じシステムを管理する同僚に対する気配りが。

冒頭で「生理」のたとえを出しましたが、私は実際に、業務のために女性の生理について勉強したことがあります。と言うのも、社会人になって間もなく配属されたある職場で、自分以外のメンバーが全員女性と言うチームに入ったことがあったからです。うらやましい? とんでもない。まだ若年だった私がそのチームで一番苦労したこと。それはプログラムのコーディングでも、コンソールパネルの操作コマンドでも、旧式ページプリンターのトナー交換でもありませんでした。

「なぜ、いつも誰か不機嫌なのか?」

この理由がさっぱり分からなかったのです。私以外の女性数名のメンバーが、いつも常に誰か機嫌が悪いのです。新人である私の質問にうんざりしているのか? 言葉では言わないけど新人の初歩的なミスにあきれているのか? それとも唯一の男性メンバーとして入って来た私を嫌っているのか? 原因は何なんだろうと、毎日、私は悩みました。ただ、悩めば悩むほど、日々その疑問は深まって行きました。なぜなら、数日経つと不機嫌だった人の態度が親切になり、それまで親切だった人が不機嫌になっていたからです。それが女性メンバーの間でジョブローテーションのように繰り返されるのです。なぜだ・・・なぜだ・・・。

 

ある日、研修の頃からお世話になっていた男性の先輩にそのことを相談すると「ああ、それは生理だよ」とあっさり正解を教えてくれました。実はその先輩も私と同じような境遇になったことがあったんだとか。

女性の生理がこんな形で業務に影響を与えてくるなんて・・・。

それから私は勉強しました。女性の生理と言うものについて。生理には周期があり、個人によって日数がまちまちなこと。生理期間中はどんなことが身体に起こり、たとえば家事や会社の仕事にどんな影響を与えるか。日常生活に支障を来すほどの症状にはどんなものがあるのか。などなど、実にいろいろな文献を読み、知識を蓄えて行ったのです。知っていますか? 何ヶ月も生理が来ずに、ある時、急に始まることもあるそうです。また、一度、とまっていたものが数年経って再び始まったり。女性の身体というのは、否、生命というものは実に神秘的なものなのです。

 

ひととおり勉強すると、「女性って大変なんだな」と思うようになりました。それから、会得した知識を活かして、同じシステム管理チームの女性メンバーの「周期」をリサーチしました。Aさんは月のこのあたり、Bさんは下旬、と言った具合に。そして自分だけに分かる「周期表」を作成し、それに基づいて、質問をしたり相談したりするメンバーを選ぶようにしました。もちろん「誤差」もあるので、慎重に様子をうかがいながら。それからは、不機嫌な同僚に悩むことは無くなりました。

 

この体験は私に「同僚を思いやることの大切さ」を教えてくれました。何も自分以外のメンバーが全員女性の場合に限ったことではないのです。「あの人、今日は何か体調悪そうだな」とか「最近、彼は単純なミスが目立つな。何かあったのかな」とか、一緒に働いているメンバーのことに注意し、自分にできることがあれば助けてあげようという気配り。この気配りが、社会人、特にシステム管理者として働く際に必要とされる重要な資質なんです。

私の場合は、たまたま、この「気配り」を「生理を勉強すること」を通して学ぶことが出来ました。みなさんも、自分の職場の人間関係が上手く行っていない原因が知りたかったり、あるいは、今よりもっとチームワークを高めたい、と言うようなことを思っているのでしたら、どうか一緒に働いている同僚のことをじっくり観察してみて下さい。女性ひとりひとりに生理の周期があるように、メンバーひとりひとりにも苦労や悩みがあるんです。それをひとつひとつ丁寧に理解してあげて下さい。

 

エラーメッセージを解析し、ハードウェアの調整を行い、ソフトウェアのアップデートを行う。そういった機器のメンテナンスは機械でも出来ます。でも、働いているチームのメンバーのメンテナンスが出来るのは、一緒に働いているあなたの「気配り」だけです。